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長岡で発行している月刊フリーマガジン「マイスキップ」連載の同名コラムのブログ版です。主宰するアトリエの企画展情報をまじえながら…
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8e27798b.jpg 09db0c0d.jpg昨日は柏崎・游文舎で18日から始まる「吉野榮子展」の作品展示作業でした。
同展に関しては、今月号のマイスキップ誌に游文舎の企画委員・霜田文子さんによる一文(作品論)を掲載していますので、以下転載します。

色彩の協奏、表出する想念
~吉野榮子展「彩・エピキュリアンⅡ~私のランガーシュ」に寄せて~

エネルギッシュな人である。作品も力強く生き生きとした躍動感に富む。
吉野榮子さんは美術教師、障がい者アートの指導者として実績を持ち、ずっと具象画を描いてきたが、子供達の感性を引き出す指導が自身をも触発し抽象へ向かったという。そして染料との出合いが吉野さんをさらに解放した。
発色の良さと、塗り重ねても失われることのないそれぞれの色。垂らし、にじませ、こすり、たたき、吹く・・・「描く」とはほど遠い技法を駆使しながら、その特性を際立たせていく。色彩の偶発的な調和と画面の変容を楽しんでいるうちに次第にイメージが立ち現れ、作者の想念と重ねられ、時には見えすぎてくる形態と抗い、押しとどめながら静止の時を待つ。禁欲的とも言える瞬間であろう。快楽と禁欲とは表裏一体なのだ。
鮮やかな色彩が炸裂するような作品もいいが、濃度を増して沈潜した色となり、結晶化した粒子が煌めく、深海を思わせる作品も魅力的である。一方で青一色を段階的に、無数にドロッピングした作品は、一見単調に見えながら、複雑で多様な色調の変化を見せ、重層的な画面を作り出している。
こうした画面を埋め尽くす作品に対して、余白を大きくとり、赤の染料を垂らして一気に仕上げたかのような作品がある。思い切りの良い、リズミカルな作品だが、異素材による澱のような部分と、鋭利な金属で引きずった線が画面に緊張感を与えていて、偶然もまた必然の結果なのだと思わずにはいられない。
色彩に遊び、偶然を楽しみながら、作者を作者たらしめる抑制と秩序。「私のランガーシュ」たるゆえんであろう。

(霜田文子)


f824cbbd.jpg吉野榮子展「彩・エピキュリアンⅡ~私のランガーシュ」
会期:4月18日(土)~26日(日)/会期中無休 10:00~17:00(最終日は16:00まで)
会場:游文舎ギャラリー 柏崎市新橋3-20公仁会中央ライフセンター1階/tel.0257-35-6881 【地図
柏崎駅から徒歩5分/駐車場有
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長岡市在住,アトリエZen主宰。
アート作家。同アトリエをベースにアートイベントの企画・コーディネートにたずさわっているほか、長岡で発行している地域情報誌「マイスキップ」の編集にも関わっています。


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