長岡で発行している月刊フリーマガジン「マイスキップ」連載の同名コラムのブログ版です。主宰するアトリエの企画展情報をまじえながら…
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以下は、現在開催中の「舟見倹二の軌跡展」で、見附会場、長岡会場それぞれの入口に掲げている「今展への作家のコメント」です。
■今井美術館会場:1950年代から70年の油彩作品を展示。
-抽象表現にかけた絵画平面-
1955年-1970年 油彩の変容から
1950年代、それはまさに私の絵画表現が、未知の抽象世界に第一歩をふみいれた年代と言ってもよいと思います。
敗戦後7年、東京芸大で林武教室に接した1年、そのあと具象のなかから抽象への葛藤時代、感性のおもむくまま変容の10年が過ぎ去ります。時はヨーロッパ・アメリカからの現代絵画のアンフォルメル等の影響を正面から受け、当時は「壁派」と呼ばれていた表現領域のなかで絵画平面につきあたりました。この茶褐色の絵の具が重ね描かれ、けずる行為の痕跡は時代の様相と自身の関わりの中で生まれた衝動のかたちで、絵画空間を問い模索し、ハードな冷たい抽象に変わるのは70年代に一歩ふみいれた時でした。
今回展示した作品群はそれまでの15年間のもので、私の抽象絵画の変容を観ていただければ幸いですが、それは現代美術という風が吹き荒れているなか、上野の公募団体に出展していた頃でもありました。このあと、私は上野の山から離れ、版という新たな世界で平面空間そのものの抽象へと向かい、油彩表現からは決別して今に至るのですが、そのひとつの時代の作品群といえましょう。
■ギャラリー宮本会場:1980年前後の版画(シルクスクリーン)作品を展示
-過去の自作によって現代を逆照射する試み-
1977年-1983年 シルクスクリーンプリント・ラインから
今から8年前、2001年にMEMOした文章の一端を本年に重ねて、私のコメントとしたいと思います。
そこには「過去の自作によって現代を逆照射する試みとしての版画展」と記しています。 私は1975年、それまでの油彩作品制作のかたわら、最も初歩的な手法によってシルクスクリーン・プリントを始めます。イメージはもちろん油彩表現とそれほど変わりはしませんが、この版表現で見えてきたのはより明確な平面上の図形のもつインパクトであり、平面空間そのものの抽象へと向かいました。完全に油彩と決別する契機となり、現在に至っています。
上野の山「公募団体」ともはなれ、新たな版世界は私にとって未知。時はまさに現代美術の旋風が私の肌に突き刺さるなか、絵画への復権という声も聞きながら、視線は版の透き間から現代の平面を、また、現代の美術領域へと接近していたことは確かです。版作品は光ぼうとも見えるラインの構造からストライプ、そしてウェーブで面を覆いつくすまでには何年かの時間が必要でした。
現在それも変容しますが、本展はラインの構造を追求していた時代、先の自作から逆照射するひとつの試みとして、版のありようを問うてみたいと思っています。
■ 舟見倹二の軌跡展 http://atelierzen.blog.shinobi.jp/Entry/310/
アーティスト・トーク(今井美術館会場にて):4月25日(土)午後2時~/入場無料
・レビュー(佐藤秀治氏) 新潟日報掲載:http://atelierzen.blog.shinobi.jp/Entry/331/
■今井美術館会場:1950年代から70年の油彩作品を展示。
-抽象表現にかけた絵画平面-
1955年-1970年 油彩の変容から
1950年代、それはまさに私の絵画表現が、未知の抽象世界に第一歩をふみいれた年代と言ってもよいと思います。
敗戦後7年、東京芸大で林武教室に接した1年、そのあと具象のなかから抽象への葛藤時代、感性のおもむくまま変容の10年が過ぎ去ります。時はヨーロッパ・アメリカからの現代絵画のアンフォルメル等の影響を正面から受け、当時は「壁派」と呼ばれていた表現領域のなかで絵画平面につきあたりました。この茶褐色の絵の具が重ね描かれ、けずる行為の痕跡は時代の様相と自身の関わりの中で生まれた衝動のかたちで、絵画空間を問い模索し、ハードな冷たい抽象に変わるのは70年代に一歩ふみいれた時でした。
今回展示した作品群はそれまでの15年間のもので、私の抽象絵画の変容を観ていただければ幸いですが、それは現代美術という風が吹き荒れているなか、上野の公募団体に出展していた頃でもありました。このあと、私は上野の山から離れ、版という新たな世界で平面空間そのものの抽象へと向かい、油彩表現からは決別して今に至るのですが、そのひとつの時代の作品群といえましょう。
2009年4月 舟見倹二
■ギャラリー宮本会場:1980年前後の版画(シルクスクリーン)作品を展示
-過去の自作によって現代を逆照射する試み-
1977年-1983年 シルクスクリーンプリント・ラインから
今から8年前、2001年にMEMOした文章の一端を本年に重ねて、私のコメントとしたいと思います。
そこには「過去の自作によって現代を逆照射する試みとしての版画展」と記しています。 私は1975年、それまでの油彩作品制作のかたわら、最も初歩的な手法によってシルクスクリーン・プリントを始めます。イメージはもちろん油彩表現とそれほど変わりはしませんが、この版表現で見えてきたのはより明確な平面上の図形のもつインパクトであり、平面空間そのものの抽象へと向かいました。完全に油彩と決別する契機となり、現在に至っています。
上野の山「公募団体」ともはなれ、新たな版世界は私にとって未知。時はまさに現代美術の旋風が私の肌に突き刺さるなか、絵画への復権という声も聞きながら、視線は版の透き間から現代の平面を、また、現代の美術領域へと接近していたことは確かです。版作品は光ぼうとも見えるラインの構造からストライプ、そしてウェーブで面を覆いつくすまでには何年かの時間が必要でした。
現在それも変容しますが、本展はラインの構造を追求していた時代、先の自作から逆照射するひとつの試みとして、版のありようを問うてみたいと思っています。
2009年4月 舟見倹二
■ 舟見倹二の軌跡展 http://atelierzen.blog.shinobi.jp/Entry/310/
アーティスト・トーク(今井美術館会場にて):4月25日(土)午後2時~/入場無料
・レビュー(佐藤秀治氏) 新潟日報掲載:http://atelierzen.blog.shinobi.jp/Entry/331/
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長岡市在住,アトリエZen主宰。
アート作家。同アトリエをベースにアートイベントの企画・コーディネートにたずさわっているほか、長岡で発行している地域情報誌「マイスキップ」の編集にも関わっています。
■連絡はこちら↓
mail:
correspon☆hotmail.co.jp
(☆を@に)
アート作家。同アトリエをベースにアートイベントの企画・コーディネートにたずさわっているほか、長岡で発行している地域情報誌「マイスキップ」の編集にも関わっています。
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